外国人UIデザイナーとして日本で感じた、伝統的日本建築とモダニズムの共通点
2018.06.19. TueUIデザインとモダニズム
近年のUIデザインにとって、20世紀以降のモダニズムのデザイン原則はとても重要な概念です。
モダニズムの概念では、
Less is More (=少ないほど豊かである)
Form follows function (=形態は機能に従う)
といった言葉に表現されるように、
装飾を極限まで減らして、最低限のデザインで最大の機能効率を達成することが重要であるとされています。
これらは主に、建築やインダストリアルデザインの世界で生まれた概念ですが、UIデザインのためにもとても参考になります。
UIデザインの目的も、できる限り少ない表現でユーザーに的確にメッセージを伝えることであるです。
日本建築とモダニズムの共通点
日本にはモダニズム建築以外にも、UIデザイナーの参考となるデザイン概念があります。それは、伝統的な日本建築や庭、お寺のデザインです。
質素・洗練
わび・さび
といった概念に基づいた、日本のデザインも形状に無駄がなく、機能的で美しいです。
日本の伝統的家屋で畳が使われているのは、部屋の中の湿気レベルを調節することです。
障子は、外から家の中が見えないようにすることと同時に、太陽の光を取り入れることができるように作られています。
どちらも、機能のために必要な形状以上に装飾がされておらず、デザインとしてもとても美しいです。
これらは、モダニズム以前から存在する日本のすばらしいデザイン概念です。
現代の日本のデザイン
一方で、私が不思議に感じたことがあります。
日本にはすばらしいデザイン概念があるにも関わらず、日本の街で見かける広告や、雑誌のレイアウトなどを見ると、とても複雑でわかりにくいのです。
広告に関して言えば、資本主義的な競争のために、”目立つこと”が最優先されてしまったことが原因だと思います。しかし、目立つだけのデザインは人々の心に残りません。
ユーザーインターフェイスに関しても、機能を詰め込みすぎたり、いらない装飾を加えて、使い勝手が悪くなってしまっているものがたくさんあると思います。
“質素・洗練”、”わび・さび”の概念を現代のデザインに取り入れることができれば、日本のデザインはより良くなるのではないかと思います。
最後に
UIデザインをする時に、モダニズムや日本の伝統的なデザインはとても参考になります。これらの概念を取り入れることで、デザイン的にもユーズビリティー的にも良い結果が得られるでしょう。
最後に、数々のモダニズムデザインのプロダクトを生んだ、
Appleのスティーブ・ジョブズの言葉を紹介して終わりにしたいと思います:
“ Design is not just what it looks like and feels like. Design is how it works. ”
デザインとは、単なる視覚や感覚のことではなく、どう機能するかであるということです。